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認知行動神経機構部門 増田明助教の論文が「eLife」に掲載されました。

'20年3月2日 更新
海馬では時間情報が符号化されていると考えられていますが、時間という概念に付随する「待たされる」という負の価値がどのように扱われているかこれまでほとんど分かっていませんでした。そこで本研究では①待たされるが大きな報酬を得られる、か②待たされないが小さな報酬を得られるという2つの選択肢を選ばせるT字迷路課題を行い、待たされる時間や得られる報酬量を順に変更し、その時の海馬の活動を測定しました。
海馬の神経細胞の多くは、待ち時間に応じて神経発火を変える性質を持つこと、待ち時間内で発火をよくする細胞とほとんどしない細胞が存在し、それらは報酬量を変えた際、真逆に発火活動が変わること、可塑性に関わるNMDA受容体を海馬で遺伝的に消失させると異常に「待てる」という行動変化が生じること、を発見しました。海馬では、待ち時間の情報が異なる2つの細胞集団によって、その後得られる報酬との統合を独立的に並行的に行っており、NMDA受容体を介した機構が存在することが示唆されます。この研究結果により、犯罪や精神疾患と関連がある「待てない」という衝動的な行動特性の治療法開発につながることが期待されます。
The hippocampus encodes delay and value information during delay-discounting decision making
海馬では時間情報が符号化されていると考えられていますが、時間という概念に付随する「待たされる」という負の価値がどのように扱われているかこれまでほとんど分かっていませんでした。そこで本研究では①待たされるが大きな報酬を得られる、か②待たされないが小さな報酬を得られるという2つの選択肢を選ばせるT字迷路課題を行い、待たされる時間や得られる報酬量を順に変更し、その時の海馬の活動を測定しました。
海馬の神経細胞の多くは、待ち時間に応じて神経発火を変える性質を持つこと、待ち時間内で発火をよくする細胞とほとんどしない細胞が存在し、それらは報酬量を変えた際、真逆に発火活動が変わること、可塑性に関わるNMDA受容体を海馬で遺伝的に消失させると異常に「待てる」という行動変化が生じること、を発見しました。海馬では、待ち時間の情報が異なる2つの細胞集団によって、その後得られる報酬との統合を独立的に並行的に行っており、NMDA受容体を介した機構が存在することが示唆されます。この研究結果により、犯罪や精神疾患と関連がある「待てない」という衝動的な行動特性の治療法開発につながることが期待されます。
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