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脳科学研究科認知記憶加齢部門の元外国人留学生助手朴洪宣 (Hongsun Park)さんの論文がActa Neuropathologica Communicationsに掲載されました

'22年3月9日 更新
神経核内封入体病(Neuronal intranuclear inclusion disease, NIID)は、中枢神経系の神経細胞、末梢神経系および一般臓器細胞に核内封入体が広く分布する神経変性疾患です。1968年に初めてのケースが報告されて以来、死後の脳組織の病理学的観点でのみ診断されてきました。一方ハンチントン病のようなCAG繰り返し配列の伸長によるポリグルタミン病でも核内封入体が認められ、最近日本で多くみられるNIIDの遺伝子として、NOTCH2NLC遺伝子のGGC繰り返し配列の伸長が報告されました。このようにNIIDは原因の異なる疾患群であることがわかってきました。これらの疾患の核内封入体の組成については直接調べられてはいません。
本研究では、日本に多いNIIDとは異なり、NOTCH2NLC遺伝子の異常を持たないフィンランドのNIID患者脳を用いて核内封入体の主な組成がhornerin蛋白質であることを明らかにしました。このNIIDは、遺伝子にGGC及びCAGのようなこれまで報告されたトリプレットリピートは認められず、核内封入体には自家蛍光がみられます。NIID患者脳を用いる前に、まずハンチントン病のモデルマウスである Huntingtin exon1-EGFPマウス(HD190QG)脳からEGFPと結合したポリグルタミン凝集体を精製しました。そして、質量分析とアミノ酸分析を行うことでHD190QG脳の凝集体で特定のアミノ酸―グルタミン―が異常に増加していることを確認しました。同じ方法でNIID患者脳の核内封入体を精製し分析した結果、セリンが封入体分画で増加していることがわかり(図1)、NIID特異的に同定された蛋白質の中でセリンリッチなhornerinが主な構成成分であるということがわかりました(図2)。さらに、イメージング質量分析法とイオントラップ型質量分析法を行い、hornerinのNIID特異的な分布を示しました(図3)。
本研究は、精製された封入体分画に特定アミノ酸の増加を確認したことをもとに、核内封入体の全く新規な構成成分を同定したことに意義があります。このような特定のアミノ酸が増えている部分を低複雑性ドメインと呼び、このようなドメインを持つタンパク質が封入体を形成されることが注目されています。今後、hornerin凝集が神経変性を引き起こすメカニズムの解明が期待されます。
論文の図
神経核内封入体病(Neuronal intranuclear inclusion disease, NIID)は、中枢神経系の神経細胞、末梢神経系および一般臓器細胞に核内封入体が広く分布する神経変性疾患です。1968年に初めてのケースが報告されて以来、死後の脳組織の病理学的観点でのみ診断されてきました。一方ハンチントン病のようなCAG繰り返し配列の伸長によるポリグルタミン病でも核内封入体が認められ、最近日本で多くみられるNIIDの遺伝子として、NOTCH2NLC遺伝子のGGC繰り返し配列の伸長が報告されました。このようにNIIDは原因の異なる疾患群であることがわかってきました。これらの疾患の核内封入体の組成については直接調べられてはいません。
本研究では、日本に多いNIIDとは異なり、NOTCH2NLC遺伝子の異常を持たないフィンランドのNIID患者脳を用いて核内封入体の主な組成がhornerin蛋白質であることを明らかにしました。このNIIDは、遺伝子にGGC及びCAGのようなこれまで報告されたトリプレットリピートは認められず、核内封入体には自家蛍光がみられます。NIID患者脳を用いる前に、まずハンチントン病のモデルマウスである Huntingtin exon1-EGFPマウス(HD190QG)脳からEGFPと結合したポリグルタミン凝集体を精製しました。そして、質量分析とアミノ酸分析を行うことでHD190QG脳の凝集体で特定のアミノ酸―グルタミン―が異常に増加していることを確認しました。同じ方法でNIID患者脳の核内封入体を精製し分析した結果、セリンが封入体分画で増加していることがわかり(図1)、NIID特異的に同定された蛋白質の中でセリンリッチなhornerinが主な構成成分であるということがわかりました(図2)。さらに、イメージング質量分析法とイオントラップ型質量分析法を行い、hornerinのNIID特異的な分布を示しました(図3)。
本研究は、精製された封入体分画に特定アミノ酸の増加を確認したことをもとに、核内封入体の全く新規な構成成分を同定したことに意義があります。このような特定のアミノ酸が増えている部分を低複雑性ドメインと呼び、このようなドメインを持つタンパク質が封入体を形成されることが注目されています。今後、hornerin凝集が神経変性を引き起こすメカニズムの解明が期待されます。
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